ファンタスマゴリア

揺らめく光 硝子にかげろへば
鮮やかな幻燈世界 彩る

誰しもが華やぐ饗宴に
流れ込むヴィオロンの囁き

君の微笑(えみ)を隠すように
刻む時が 終わるなら
どうか今は刹那の夢だって
醒める前に一層(いっそ)この腕を引いて欲しい

夕映え 染まる花のように色付いた
芳しき 密やかなこの願いは

忘れえぬ 儚い銀の空
流れ込む月へと駆け昇る

君の細い指先に
伝う響き 灯すなら
どうかこの想いも連れて往って
夜に溶ける甘いまなざしに呼吸(いき)も止まる

世界は幻燈 瞬く

波立つ感情の果てに
辿り着いた華やかな夜
その希薄な闇へと注がれていく焦燥

さあ幕が上がるまでに泪ぬぐいましょう

キネマのように移ろって消えてしまう愛ならば
どうか今だけは君と…
嗚呼 君と伴に
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