わが汽車は涙をのせて

いで湯の山を いま越える
汽車の窓辺に 煙る町
あゝ あの宿の 緑の屋根に
見るさえつらく 胸うずく
ふたりの夜よ 砕けた夢よ

笛の音細く 西へ行く
汽車も淋しい 客ばかり
あゝ 散り褪せし 乙女の夢に
嘆きをつつみ ふり仰ぐ
真白き富士よ 優しき雲よ

つれなき君を 恨めども
思い溢れる やるせなさ
あゝ 山裾を 夕陽が染めて
甲斐なき恋の なきがらを
乗せては走る 日暮れの汽車よ
×