待ちぼうけ

藁葺屋根の青嵐村は
薄墨流しの雲に埋まり
昨日までの淡い春色は
だんだん小さく 渦巻の中へ

狛犬の居るお宮の前には
いつか見た華の雪模様
私は風と石蹴りをして
夏が来るのを待っています

柱に掛かる寂れた大時計
囁くけれどもいつも待ちぼうけ
渦巻といっしょに私も
夏へつれてってほしいんです
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