枯葉の中の男

夜霧にうたれ 泣いていた
枯葉のように 泣いていた
細い小さい 影だった
だれだ だれだ 誰なんだ
呼(いと)んでも応えぬ その影に
俺もいつしか 泣いていた

独りで呑めば おもいだす
淋しい影を おもいだす
馬鹿な男さ この俺は
夢だ 夢だ 夢なンだ
忘れるつもりで 呑みながら
やはり今夜も おもいだす

夜霧が影を 消したのさ
枯葉が夢を 消したのさ
これで仕舞いさ なにもかも
酒だ 酒だ 酒なんだ
おろかな男の 日記帳
酒がこっそり 消したのさ
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