紙の舟

頬寄せて 瞼(め)をとじて あなたの胸で
つむぐ女の 夢の糸
ほどいた帯の 絹づれの
音がはじらう 闇の中
今夜のあなたは ねえ あなたは
わたしだけの ものですね

泣かされて 泣き止(や)んで また泣かされて
なみだ夜通し 虫の声
あなたが噛んだ くちびるに
しみるお酒の 玉の露
愛しいあなたの ねえ あなたの
熱いなさけに 酔いたいの

男には ひとときで 過ぎてく嵐
女ただよう 紙の舟
炎の波に 身をまかせ
朝を迎える それまでは
今夜のあなたは ねえ あなたは
わたしだけの ものですね
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