タンポポ急行

ふたつおきに 通り過ぎていく駅は
いつかふたり おなじ車窓(まど)から見た駅
おなじ色の服着ていた 恋人のつもりで

電車のなか 早春(はる)の顔の高校生
線路のはじっこ 黄色いタンポポ
サミシサについておしゃべり 薄い汗 まぶしい

いますぐ あのひとの住む場所に 運んでいってよ
さよならだけ言うの
山には残る雪 思いでも もうじき溶けてく
さよならだけ言うの 冬の恋人(ひと)に

はじまりは 寒い風の吹く駅で
あたためあうように 寄りそっていたね
離れたら凍えそうだと 思いこんでいたよ

あの頃 着たかったセーターも しまったままなの
さよならして着るの
ふたりで はじめての旅行して みるつもりだった
タンポポの花も きっと もう見たよ

いますぐ あのひとの住む場所に 急いで走って
さよならだけ乗せて
いますぐ あのひとの住む場所に 運んでいってよ
さよならだけ言うの
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