蛍舞い

眠るあなたを 起こさずに
宿を出ました 忍び足
後ふり向けば ああ
闇に乱れる 蛍舞い
女ごころの 未練火が
燃えているよで つらくなる

呑めぬお酒を せがんでは
酔って薄めた 罪ごころ
初めの夜も ああ
明り障子に 蛍舞い
そっとあなたに 添い寝して
数を数えた 宿枕

戻りたいけど 戻ったら
別れられない 今度こそ
私の胸に ああ
揺れる篝火(かがりび) 蛍舞い
迷う足元 照らしては
おいでおいでと 先を行く
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