昨日はもう過ぎ去って

昨日はもう過ぎ去って
明日はまだ来ない
硝子戸は風に風に鳴り
紙屑は破れちぎれる
嘘 涙 怒り
誰もが黙ってさぐりあう
何を何を追っているのか
すりきれた靴の下で
地球はもう地球はもう回らないというのに
遠くからひとりの女が
ひたむきに駆けてくるとき
乾いた心に小さな炎が燃え上る

昨日はもう過ぎ去って
明日はまだ来ない
コーヒーを飲み飲み干して
耳なれた歌にいら立つ
嘘 涙 怒り
誰もが黙ってさぐりあう
何を何を追っているのか
うす暗い路地の裏で
未来はもう未来はもう行き止まりだというのに
向い合うひとりの女の
ほほえみをのぞきこむとき
乾いた心に小さな痛みが血を流す
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