残菊三河節

何がなんでも 忘れちゃならぬ
義理の貸し借り 待ったなし
それが男と 火打石(うちび)きり
意地で見送る 荒神山へ…
お菊十八 お菊十八 おぼろ月

やむにやまれぬ 一本刀
行くが渡世の 人の筋(みち)
逝(い)かせともなや いのち賭け
惚れた心に 嘘などないが…
わかれ化粧も わかれ化粧も 乱れ口紅(べに)

[台詞]
仁吉っつあん!
たとえ三月(みつき)十日でも菊は…菊は、
本当に倖せでした。

四十五文字(しじゅうごもじ)の 三下り半が
今じゃ形見の はぐれ鳥
時雨哀しや 伊勢の街道(みち)
泣けば切れます 紅緒の草鞋(わらじ)…
花も名残りの 花も名残りの 三河節
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