博多情話

博多女が 花ならば
落ちる手前の 紅椿
帯を解く手も もどかしく
肌をよせあう ひとときだけは
この世の外へ 逃(のが)れてゆける
だから人の 妻と思わず
名前で呼んで
呼びつけて 呼びつけて

泣くな嘆くな 死ぬなよと
博多人形が みつめてる
糸を引くよな くちづけを
交わす二人に 明日(あした)はないが
引き裂いたって 二つの命
闇の中で 求め合います
だから今夜も
しのび逢う しのび逢う

博多山笠 追う声が
朝のしじまを 破ります
はなればなれに 生きたけど
せめて私が 死ぬときだけは
お前が俺の 妻だと言って
ひしと胸に 抱いて下さい
その夢だけは
叶えてね 叶えてね
×