北鴎

海岸伝いの 岩肌を
波がからんで かけ登る
まして山背の吹くたそがれは
心も細る きりきりと

あなた あなた そばに来て
寒がる肌を 抱きにきて
辛い私の 身がわりに
鳴いてふるえる 北鴎

焦がれる思いを 断ち切れと
風が心に 突き刺さる
奇麗ごとでは 愛せはしない
判っています この私

あなた あなた 連れて来て
なり振り捨てて ついて行く
せめて私に その翼
分けておくれよ 北鴎

あなた あなた そばに来て
寒がる肌を 抱きにきて
辛い私の 身がわりに
鳴いてふるえる 北鴎
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