比叡おろし

風は山から降りてくる
レタスのかごをかかえて
唇はくびれていちご
遠い夜の街を越えて来たそうな
うちは比叡おろしですねん
あんさんの胸を
雪にしてしまいますえ

風は琵琶湖に落ちてくる
北山杉を下に見て
夕焼けはよそゆきマント
光る銀の靴をはいていたそうな
うちは比叡おとしですねん
あんさんの胸を
雪にしてしまいますえ

風は今夜も吹いている
死んでは駄目よといいながら
さよならは小さなみぞれ
そっと京都の闇に
捨てて来たそうな
うちは比叡おろしですねん
あんさんの胸を
雪にしてしまいますえ
うちは比叡おとしですねん
あんさんの胸を
雪にしてしまいますえ
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