かもめの街

やっと酒場(みせ)が終わって ほろ酔いで坂を下りる頃
白っ茶けたお天道(てんとう)が 浜辺を染め始めるのさ
そんなやりきれなさは 夜眠る人にゃ分からないさ
波止場に出ると かもめがブイに2,3羽
一服しながら ぼんやり潮風に吹かれてみるのが
あたしは好きなのさ

かもめよ かもめよ 淋しかないか
帰る故郷があるじゃなし

おまえも一生 波の上
あたしも一生 波の上
あぁ あぁ どんぶらこ

いろんな人がいたし いろんな人がいなくなった
でもこの街じゃ誰だって それを嘆いてやれるほど
お人好しじゃないのさ 幸せじゃないのさ
泣いてくれるのは かもめと霧笛ばかり
一服しながらあれこれ とりとめなく懐かしむのが
あたしは好きなのさ

かもめよ かもめよ 風邪などひくな
絹の寝床が あるじゃなし

おまえも一生 波の上
あたしも一生 波の上
あぁ あぁ どんぶらこ

かもめよ かもめよ あぁ あぁ
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