女の港町

ふたりで暮らした あの部屋は
汽笛が聞こえる 坂の町
逢いたいわ 逢いたいわ
こんな夕暮れは…
ふたつ躰が あったらと
ためいき残して 消えた人

波止場の小雨に 泣きぬれて
別れを惜しんだ 出船前
せつないわ せつないわ
何も言えなくて…
盡しきれない 恋ひとつ
女のしあわせ 夢ですか

他人の空似と 知りながら
涙でふりむく 石だたみ
あのひとを あのひとを
呼べば霧がふる…
夢でいいから もう一度
おねがいやさしく 抱きしめて
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