紅の糸 ~くれないのいと~

また夕闇の空を
伝う流れ星
逢えないと知りながら
待つ人がいる

思いを 紡ぐ糸は
風を凌ぐ衣(きぬ)になる
戻れぬ日々ならば
涙に羽織れと

忘れてしまえるなら
どんなに楽だろう
憎んでしまえるなら
心も捨てられる

まだ乾かない傷は
じきに返り花
あふれる人の群れで
芳香(におい)をつける

願いを 繋(つな)ぐ糸は
継ぎ目ばかり増えてゆく
幾度も断ち切って
幾度も結んで

忘れてしまえるなら
泣かずにすむのに
憎んでしまえるなら
夢など見ないのに

忘れてしまえるなら
どんなに楽だろう
憎んでしまえるなら
心も捨てられる
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