一輪挿し

さみしい夜の
そばに置く
根もない花の
深い彩(いろ)

交わした肌に
散らすのは
夢を知らない
空心(そらごころ)

好いても 好いても
好いてはくれない人でしょう
どうせ一輪挿し
咲いて一夜きり

思わせぶりな
しぐさほど
かわいそうだと
知りながら

小さな蝶を
誘うよに
ほつれた髪を
梳(と)かす指

泣いても 泣いても
いつかは消えてく人だもの
どうせ一輪挿し
咲いて一夜きり

好いても 好いても
好いてはくれない人でしょう
どうせ一輪挿し
咲いて一夜きり
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