第三者

死んだ珈琲 挾んだままで
外の信号の変わる数を
テーブルに映る 黄色で数えて
ついでに想い出も数えて

忘れかけてた 君の癖が
こんな時にふと目についたりして
懐かしいものと 出会った気がして
笑ったら君は怪訝な顔をする

もう 明日は第三者
信じるものさえも 違う異教徒になる
一度は 同じものを信じた
二人が奇妙にも 見知らぬ人になる日

車のライトが 時折横切る
前髪の奥の君の瞳には
既に僕の 姿は消えて
蝋燭の赤だけが揺れてる

隣の席の 笑い声が
幾分僕等に気兼ねをして
やがてこの店の 最終注文を
尋ねる時間が訪れる

最后の 御注文はいかが
お二人に似合いの デザートはいかがですか
表は 季節の替り目の
雨が降り始めて 音楽がやがて止まる

もう 明日は第三者
最后の注文は何かありませんか
もう 明日は第三者
最后の注文は
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