肖像画

白いキャンバスにひたすら 僕は自分を描いた
並べた絵具と指先で 服を染め乍ら
君は編物の向うで 僕を疑いもせずに
優しい光の様にいつも微笑んでた
あなたは 自分の信じたとおりに
思い切り 自分を描いてください
私はただその背中を見ているだけで幸せだから
世界一の自画像 描き上げて下さいと言った

そんな君の美しさに 僕は気付きもしないで
あやうくかけがえのないものを 見失なおうとしてた
何を描いたかではなく 如何にして描いたかの
道程が君と僕にとって大切だと気付いた
今日から 二人の信じたとおりに
思い切り 二人を描き始めよう
だから君は変わらぬままその笑顔を僕にください
世界一の肖像画 描き上げるその時まで
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