女の川

にわか雨 傘借りに
駆けこむ家の 軒先で
思わず聞いたふる里の 手毬唄
流れなし 流されなして
この川の 流れに沿うて
男のいのちを 吸いとりながら
女はつよい 母になる

おてんばが 過ぎた娘(こ)を
土蔵の中に 押しこんで
文(ふみ)読む癖を つけさせた 母ごころ
逆らうな 逆ろうちゃだめ
この川は 女のさだめ
さだめをしっかり 受けとめながら
女は美(うつ)しゅ なるのよし

山を越え 谷を抜け
母子(ははこ)に通う 血の流れ
流れていつか ふる里へ戻るとか
流れなし 流されなして
この川の 流れに沿うて
女のつとめを 果たしていつか
花咲く里に 辿(たど)り着(つ)く
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