荒野へ

遠き春の夢に 一人 目覚める宵は
甘く香る黒髪の 指を滑る記憶

嗚呼、若き日の 嗚呼、せつなさは
知らない間に消えてしまう

青春を脱ぎ捨てた
それは 不安なほど自由な夏の終り
思い出と呼べるまで
遥か時を紡ぎ
嵐の近い荒野へ

荒れた時代を行く 君は若き旅人
鉄の馬を道連れに 通り過ぎた世界

嗚呼、正義とは 嗚呼、幻か
砂漠の中 朽ちた小船

青春に刻まれた
愛は 悲しいほど輝く夏の名残
幻想を追い求め 一人
沈む夕陽 茜に染まる荒野へ

幸せを見失う
それは 不安なほど自由な日々の仕業
青春に戻れない
夢は 悲しいほど輝く夏の名残
思い出と呼べるまで
遥か時を紡ぎ
夜明けの近い荒野へ 荒野へ
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