山里しぐれ

しぐれおろしが山から里へ
辛いうわさを連れてくる
町へ嫁いだ あの娘は
あの娘はいくつ
枯葉つもった裏木戸開けりゃ
浮かぶせつない 面影が

昨日ひと雨 今日ひと雨と
来たり去ったり 戻ったり
秋が深まる この胸
この胸ゆれる
寒さだけならこらえもするが
出来ぬこころの 冬じたく

人目しのんで別れた夜の
固いちぎりを 忘れたか
しぐれ気まぐれ あの娘の
あの娘の涙
日暮れ峠の向こうに見える
雲のきれ間を 雁がゆく
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