ビー玉

人通りの少ない明け方の道を噛み締めながら 誰かが去っていく足音
間違ったかの様に動き出す時間を 朝の匂いがそっと包んでく

君と出会ったあの日も こんな肌寒い季節だったな
小さなことを思い出して また目を閉じたなら

散らばって浮かぶ君の記憶に 触れてみたくて伸ばしたこの手が
すり抜けて掴む寂しさなんてもういらないから
どうか僕を連れ戻して

乗り込んだ電車の窓の外の世界
眺めてるだけなのに 胸締め付ける声

このままどこか遠くへなんて 叶わないと解ってたから
忘れたふりして閉じ込めた思い 覗き込んだなら

散らばって浮かぶ君の記憶に 触れてみたくて覗いた星の海
息をすることも忘れるほどに綺麗すぎたんだ
もうそれには触れられないのに

忘れないことを いつも僕らは少ししか選べない
その一つ このビー玉 心深く沈ませながら

改札を抜ける人ごみの中 眩しい光に目を閉じたなら

散らばって浮かぶ君の記憶に 触れた気がして零れた涙
思い出す事はもうしないだろう
噛み締めるように動き出した僕の足音
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