再会橋

十年過ぎたら
この橋で また逢いましょう
その頃には もうそれぞれ
大人びているでしょう

青春時代を
駆け足で通りぬけて
人生とはむずかしいと
悩める頃に

あの日に逢うのが
なぜかしら恐ろしく思われて
はしゃいだ手紙の文字
見つめているばかり

十年過ぎたら
あの頃のわたしじゃない
美しさも増したけれど
心に傷も

誰でもそうでしょう
雨の日も風の日もあったから
無邪気な語らいなど
出来そうにないわ

再会橋には
哀しげに早春の風が吹き
どうして来たのでしょう
寒そうな顔で

再会橋には
誰ひとり訪れる人もなく
はるかな時の彼方
背のびするばかり

わたしが出会ったのは
このわたしだった
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