面影の郷

道ばたに名もなく こぼれた花を
愛しんで摘んでた しろい横顔
幸せになってと 重ねた指を
潮風がゆらせた 面影の郷(さと)よ

瞳(め)をとじて思えば こんなに近い
初恋はふるさと 男ごころの
肩よせてかくれた 木立の陰で
ふと触れたくちびる 面影の郷よ

夕やけの若狭は 潮騒さえも
あのひとの優しい 声できこえる
あかあかと落ちる陽 彼方に炎える
この心とどけよ 面影の郷に
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