春風

陽射し柔らかく照らす午後
ひとりのんびり歩き出す
桜並木が延々続く
少し下りの長い坂

ひらり舞い踊るはなびらが
薄く視界を染めてゆく
見慣れてる町並みが
色づいて見えた

弾む心と足音
手のひら広げて
桜のはなびらそっと受け止める
ふんわりと優しい色
手の中に少しずつ重なり

春が来たよと告げる

少し伸びすぎた前髪を
揺らす風が温かくて
目を閉じてみる
耳を澄ませば
春の歌声聞こえたよ

時は静かに流れてゆく
ずっと季節は巡ってく
見慣れてる町並みを
少しづつ変えて

まるで見えない誰かが
駆け抜けるように道端の花を
ざわりと靡かせ
追い越した強い風が
目の前にははなびらを運んで

春が来たよと告げる

ふわりと
暖かい景色の真ん中に立つ

ひらりと
柔らかい季節が私を包んで

あぁ
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