うわさ

ちょっと遅くなった帰り道走っていた
真っ暗な空には星ひとつも見えなかった

そこはいつも
切れかけている電灯が
ちかちか不気味に点滅する場所

止まらずに
止まらずに
早く通らなくちゃ
だってみんながうわさしてるの
怖いものが出ると

振り向かず
振り向かず
早く走らなくちゃ
影が大きな口をあけて
呑み込もうとしてる
あぁ!

ふっと風がすぐ隣の木を揺らしたの
真っ暗な林で枝が揺れる音が響く

乱れている
自分の呼吸の音さえ
耳元から聞こえる気がする

すぐそこに
すぐそこに
何かが迫ってくる
だってじわじわとした不安が
背中に張り付くの

振り向かず
振り向かす
早く走らなくちゃ
影が大きな口をあけて
呑み込もうとしてる

ソレに
出会った人は居ないけど
食べられちゃた
人もないけど
みんなが言う

止まらずに
止まらずに
早く通らなくちゃ
一人でこの道を通ると
ソレに食べられちゃう

振り向かず
振り向かず
早く走らなくちゃ
影が大きな口をあけて
呑み込もうとしてる
あぁ!
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