流れ人

沖をこぎゆく あの小舟
誰が乗るゆら 遠くなる
家に待つのは 親か子か
いとしい妻も 待っていよ

わしは磯辺の 波の上
待つ人もない 捨小舟
波間によせる 藻をひろう
憎や玉藻に 身は濡るる

風よ吹くなよ 心が凍るよ
×