雨のむこうがわ

ガラスのむこうは 濡れた街角
人波とけてく 背中を見てた
優しい瞳で 告げた さよなら
気づいていたのよ 彼女のこと

切なさを 止めて
イニシャル刻んだ 小さなペンダント
あなたが残した 冷めたアール・グレイに
沈めたけれど

あの日から心は ずっと雨降り
さしかける傘もない
窓をつたう 銀のしずくみたいに
おちてゆく 一人きり

恋人同志ね 夢の中だけ
まぶしい渚に ふたつのシルエット
とまどう素足に 打ち寄せる波
さらわれそうだと 抱きしめあった

ふいに目が覚めて
鳴らない電話に 想いをたくす
指でたどるナンバー 最後のひとつは
涙になった

あなたを想う時 いつも雨降り
寄り添える傘はない
静かに流れてく 季節みたいに
想い出を 溶かしたい

あの日から心は ずっと雨降り
さしかける傘もない
雨のむこうがわの 陽射しのように
いつの日か 微笑みに
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