記憶

風に揺れた草原
土の匂い満ちる大気
雨のしずくに光が落ちて
空とそらをつなぐ虹の橋
“懐かしい”その気持ちの理由を
大人になったら忘れてしまうの
胸を締め付けるような切なさは
遠くからのメッセージ

深い意識の奥で
覚えている確かなもの
それはいのちが与えた記憶
きっと誰もが知っていること

あとからあとから溢れ出して
理屈を洗い流すこの涙を

どうか拭わずにいて
すべてに溶けてゆくよ

まわり続けている世界の上で
型にはまって動けないわたしの
その足に絡み付くものなど
いつのまにか 解けて ―

耳を塞いでも聴こえる
風の音 草のざわめき 大地のメロディ
感じて 重ねて 誰かの記憶(こえ)
届いてる
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