まだ愛せそうだ

日々(にちにち)の 暮しの中で
欲望も 手懐(てなづ)けられて
故郷の 土を忘れた
街路樹の悲しみを抱く

孤独な汗のしみ込む幹に
手のひらをそっと寄せれば

『君はやれ君ならばやれ』と
精一杯のそよ風で僕を押し出す
想えば今日は残された日々の初めての日

今さらだけど人と自分を まだ愛せそうだ

夏の日の 背丈によどむ
フクシャネツ 耐え切れなくて
舗道行く 背広姿の
同じ顔 息切れがして

逃げ駆け登る歩道橋の上
手に煙草一息つけば

『君は飛べ君ならば舞え』と
灰と煙が中空(なかぞら)を自由に舞い飛ぶ
想えば今日は残された日々の初めての日

今さらだけど人と 自分をまだ愛せそうだ

今さらだけど人と 自分をまだ愛せそうだ
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