夜の眼と吟遊詩人

夕餉(ゆうげ)の支度に勤しむと火の粉が弾けた
香る 慎ましやかながらも一皿の馳走

心に溶けゆく白い湯気の向こうには
ひと時の安らぎ 遥か昔のよう

草木と踊り風が運ぶ唄は人々が紡ぐ絵物語
色とりどりの出逢いと別れ どうして忘れられようか

あなたの旅路を辿り私も旅をする
地図に記された過去には ゆかしい宝物

想いの小箱(はこ)から楽の音は森に溢れ
詩(ことば)は羽ばたいてあなたの元へと

夜の眼が耳を傾ける唄は消え入りそうな者へも届く
いつ離ればなれになったとて未来へと語り継ごう

草木と踊り風が運ぶ唄は人々が紡ぐ絵物語
色とりどりの出逢いと別れ どうして忘れられようか

どうして忘れられようか

我らの心の里は風と共にある
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