スピンオフ

主人公しか出て来ないその物語の結末は
見事なエゴのぶつかり合い そして誰もいなくなった

主旋律すら聞こえない合唱の筈のステージは
不協和音の出しゃばり合い そして誰もいなくなった

誰かの物語の中じゃ 所詮エキストラ 君も僕も
誰かの物語の中じゃ 照明すら当たらないよ

日陰にしか咲けない花 余りに不憫に見えたから
君の為になればいいと 日向に移した
それからすぐ花は枯れた 悔やんでも元には戻らない
悲劇と喜劇の狭間で 何かがはじけた

知らなかったんだ

無人駅から発車する 見送る人のいないホーム
今日も何一つ変わらない 今汽笛は鳴り響いた

無尽蔵に駆け巡れない 決められたレールの上は
今日も何一つ落ちてない 今汽笛は鳴り響いた

誰かの物語の中じゃ 所詮エキストラ君も僕も
誰かの物語の中じゃ 出番一つもらえないよ

真水の中泳ぐ魚 世界を知らせたかったから
君に喜んで欲しいと 海に放した
それからすぐ彼は死んだ 悔やんでも命は返らない
正気と狂気の狭間で 何かが壊れた

知らなかったんだ 誰もいない夜を歩く

咲く場所さえ 選べない 花 泳ぐ場所を
選べない 魚
望んで檻に 入る ひとたち

それだけ

僕にしか見えない音 君にしか聴こえない景色
夢と現実の狭間で 誰かが壊れた

知らず知らずに重くなる 足どりに気を取られながら
それでも明日へと向かう 脇役のストーリー
いずれ何もかもが終わる 悔やんでも過去へは帰れない
世界と自分の狭間で 何かがはじけた

知らなかったんだ 誰もいない夜を歩く
今 分かったんだ 意味の無い存在なんて 無い
×