深海のピアノ

風色の バスに乗り
降り立てば 港が見える
人は何故 悲しいと
海を 見たくなるの

遠い昔 恋に破れて
身を投げた ピアニストがいたと言う
それは 生まれる前の
私かも 知れない

淋しさは 波に崩れる 砂の城

あなたを 待って待って 待ちわびて
ひとり聴く 波音のノクターン

ひそやかな 旋律(メロディ)を
奏でてる 波の指先
断崖に たたずんで
海を 見つめている

ちぎり捨てた 手紙のように
空を舞う カモメたちの白い群れ
あれは 自由を願う
あなたかも 知れない

切なさは 波に飲まれた 砂の城

あなたを 待って待って 待ち疲れ
ひとり聴く 終わらないノクターン
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