祖谷の里唄

恋し恋しと 千里の谷で
阿修羅の風が 夜叉を呼ぶ
恋知り染めし ふたりして
怖ごわ渡った かずら橋
君今いずこ 祖谷の里唄

冥土・冥土と 蜩鳴いて
泪を誘う 武家屋敷
ひき木と臼の しゃくりびき
合わねば挽けない 粉ひき唄
琵琶滝凉し 祖谷の里唄

朝日差す山 夕日を知らず
夕日の山は 朝知らず
霧立ちのぼる 祖谷川は
おもかげ泣かせて 吉野まで
流れて遠い 祖谷の里唄
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