冬海峡

逢いたい 逢いたさに
露地を駈けぬけ 来てみた
小指の爪まで 凍る 凍る棧橋に
白い吹雪が 空をはしる
みだれ黒髪 ほほを打つ
海峡は 通る船もない

せつない せつなさが
胸にあふれて こぼれる
どうすりゃいいのよ 港 港恋女
赤いマフラー 襟にからむ
しばれ潮風 肌を刺す
海峡よ あなた帰してよ

泣きたい 泣けるだけ
握りこぶしで あなたを
叩いて恨んで 涙 涙押しつけて
叫ぶ霧笛が 夢を千切る
北のおんなの 春はどこ
海峡は きょうもまた吹雪
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