「お兄ちゃん、こんなことあったんだ」…って(笑)。

―― 今作には「まいでぃあ」「みょーじ」「パープリン」「モザイク」といったラブソングも収録されておりますが、ラブソングはどのように生まれることが多いですか?

ユウスケ ラブソングに関しては、僕らまったく書き方が違うと思います。ナオトは想像で書くことが多いでしょ?

photo_01です。

ナオト そう、ほとんどフィクション。でも今回…個人的にはラブソングは入ってないんですよ。

ユウスケ え? そうなの? 一応「パープリン」とか失恋した男の話じゃない? なんか「みょーじ」「パープリン」「モザイク」って、昔シングルで出したものなんですけど、この3曲とくに暗い。歌詞を読んでいると、当時のふたりの心の闇がわかるなって(笑)。俺は「みょーじ」とかめっちゃラブソングな気がしますけど…。

ナオト これも古い曲で、二十歳前ぐらいに作って。でもこの曲を作った3か月後くらいに、当時付き合っていた彼女に振られて。その子が結婚したんですね。だからタイミング的に、それがきっかけで作った曲みたいに思われているんですよ。曲のほうが先なのに。

―― このインタビューで訂正しておきましょう。

ナオト お願いします、助けてください(笑)。自分としてはほぼフィクションのような感じで作った曲です。ただ、<君のみょーじが元に戻ったら 鈴木でもいい>とかは、ちょっとリアリティーが出るように入れました。当たり前ですけど、ユウスケも苗字は鈴木なので、ライブで歌わせたときにおもしろいかなと思って。

―― ユウスケさんのほうは、まったく違う作り方をされるんですか?

ユウスケ はい、僕は実体験が多いです。やっぱり実体験だと、書くタイミング次第で気持ちがバラバラなので、歌詞が結構ブレちゃうんですけど。まぁ嘘っぽくなるのも嫌だし、逆にそのブレるリアルさもいいのかなとも自分では思っています。だから恥ずかしいんですよね。もうナオトには実体験だと思われているので。

ナオト 「お兄ちゃん、こんなことあったんだ」…って(笑)。

ユウスケ でも僕の場合、実体験じゃないとなかなか書けないんですよね。

―― では、このEPのなかでおふたりがそれぞれお気に入りのフレーズを教えてください。

ユウスケ 俺はナオトの歌詞で、「モザイク」の<適当なキスをして 死ぬほど愛してないのに 好きって言った>っていうフレーズ。ここすごいですよね。素敵な歌詞だなと思います。

ナオト 俺はその前の<ペヤング食って青のりつけたまま>も好きだよ。

ユウスケ 最初<ペヤング>じゃなくて<焼きそば>とか<たこ焼き>とか、レコーディング中にいろいろ入れてみたんだよね。商品名だから避けた方がいいんじゃないかみたいな。でもやっぱり<ペヤング>がいちばんリアルでよかった。

ナオト 俺もユウスケと同じ「モザイク」のその部分が気に入っていたんですけど、それ以外だと「7997」の<見えるかいロータリーの先 隣の他人は他人で続いていく>というフレーズですね。4つ韻を踏めたのが気持ちよかったです。……なんか歌詞に特化してもらえるインタビューって初めてだから、自分の歌詞を読み上げるのめちゃくちゃ恥ずかしいですね(笑)。

ユウスケ そこ気に入ってたんだ、みたいなね(笑)。

―― 歌詞を書くときに大切にしていることはなんですか?

ユウスケ 語呂の良さだけでごまかさない。語呂だけを重視すると、自分の場合は意味がわからなくなってしまうことが多いので。だから俺の曲は結構、「わかりやすい」と言われることが多い気がします。

ナオト あとパンチラインを必ず入れることですかね。歌詞を書いているときに、ここのフレーズが核になるだろうということを意識しながら進めていくことが多いです。

―― 最近「歌詞が良いなぁ」と思ったアーティスト、楽曲がありましたら教えてください。

ナオト 浜田省吾さんの「もうひとつの土曜日」が、改めていいなぁと思いました。ハマショーの歌詞、やっぱりどれも好きですね。

ユウスケ いいよね。あと、tetoがthe dadadadysに改名したんですけど、彼らの新曲がやばかった。ちょっとナオトっぽさもあるかな。「モザイク」的というか。ニューシングルの2曲目に収録されている「PUXXY WOMAN」って曲で。<君の口に指突っ込んで 流れた涙を桶に溜め>みたいな強烈なフレーズがあって、聴き入っちゃいましたね。久々に歌詞に衝撃を受けました。

―― おふたりにとって、歌詞とはどういう存在のものですか?

ナオト 最初に、「曲を作るのが好きじゃない」って言ったんですけど、歌詞を書くのはめちゃくちゃ好きなんですよ。だから、好きでこれからもずっと書き続けたいもの。自分にとって大事なものですね。

ユウスケ 俺もそうかも。歌詞のなかで、新しい言葉の並びとかを見つけられると楽しいですし。自分が生み出した言葉を、誰かが口ずさんでくれるってすごいことだなって。オレスパの「キンモクセイ」がTikTokで広がって、いろんなひとが気持ちよさそうに歌ってくれているのを見てもすごく感じました。だから曲よりも歌詞を大事にしている部分はありますね。前よりもずっと、「歌詞って大切だな」と思います。

―― ありがとうございます!最後に、これから挑戦してみたい歌詞を教えてください。

ユウスケ Theピーズの楽曲で「なっとうばかりくっててもいいのか」って曲があるんですよ。そういうめっちゃくだらない歌詞を書いてみたいですね。なにか食べ物の曲を作ってみたい。初心に返るというか、童心に返るというか。子どもでも楽しめるようなバカっぽい曲を作ってみたいですね。いつも難しいことばかり考えて歌詞を書くので、頭を柔らかくして、誰にでもわかるものを。

ナオト 食べ物の曲いいかもね。じゃあ俺は正月ソングかな。あんまり誰も手を出さないところに行ってみたい。

ユウスケ あー、クリスマスソングはたくさんあるのに、正月ソングはないもんね。コラボするか。俺は食べ物ソングで「餅のうた」を作るから。

―― お正月EP。

ナオト それいいね(笑)。

ユウスケ テーマは「おせち」の中身とかね。無限に作れそうな気がしてきた。


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