1月11日、Veats SHIBUYAにて佐伯ユウスケが「ウラオモテンション2」を開催した。
約1年半ぶりのワンマンライブは、佐伯のナレーションによるアナウンスで始まった。ありがちな諸注意の中に「携帯電話、ビームサーベル、モビルスーツなどは電源をお切りください」と盛り込むと、爆笑の渦が起こる。笑い声が収まったころ、バンドメンバーが登場。最後に佐伯の姿が現れたが、全員がそろって斜めに立ち、同じポーズを取る。コミカルな様子に会場の緊張の糸がほぐれると、『弱虫ペダル NEW GENERATION』のエンディングテーマであった「ナウオアネバー」に合わせてライブが始まった。
佐伯はオーバーサイズの白いTシャツに、黒いパンツ、黄色いひもがワンポイントの赤い靴を合わせていた。バンドメンバーの白と黒の服装、そして楽器は赤と黒と黄色で統一されたステージをぎゅっと凝縮した姿で、所せましと走り回る。
続いて「Step into the Stage」の歌詞に合わせながら楽しそうにステップを踏み、客席にも「自由に楽しんで！」と語りかける。続く「シューティングスター」ではムーディーな雰囲気の中、コミカルなセクシーダンスを披露。
「おもいっきり楽しんで隣の人と仲良くなって肩とか組んで帰っちゃえばいいんだよ」と呼びかけると、キーボードを弾きながら「見果てぬ世界、繋がる想い」「僕さ」「たとえどんなに…～好き」と、ロマンティックな雰囲気で提供楽曲を披露。
「元気いっぱい、元気ですね。晴れてよかったね、雨男なのにね。1年半ぶりだからライブってお祭りみたい」と言うと、バンドメンバーがお祭り音頭の演奏を始める。合わせて「わっしょい！わっしょい！」と盛り上がっているところに、ゲストの吉野裕行が登場。「変な人が来た！」と言う佐伯に「そうですよ、私がわっしょいおじさんです！」と返すと、観客席からは歓迎の拍手が響いた。そのまま、タオルを振り回しながら「＼わっしょい／」でさらに盛り上げる。『弱虫ペダル』のキャラクター、荒北靖友を演じている吉野裕行が、「荒北来たらペダルやるしかないでしょう！」と歌い出した荒北のキャラクターソング「唯我独走」を歌い出すと、佐伯もコーラスで参加。そのまま「ツヨサヨワサ」を2人で歌い上げた。さらに、吉野裕行が参加する音楽ユニット、Uncle Bombに提供した「Bye Bye Bye」でゲストコーナーを締めくくった。
続いて、「絶対言わないシリーズ」ではここでしか聴けない楽曲で自由に楽しむ姿を見せ、熱狂の中、「カップリング」「たのしいよがとまらないよ」とアップテンポな楽曲でライブはクライマックスへ向かう。「NOと言えない、いいえと言えない、そんな日本人のストレスを発散するために作った曲です」と語る「裏腹イエス」では通常よりも速いラップをしたり、「さあ皆さんお待ちかね、はいはい体操のお時間です」と、間奏の間にダンス説明をして一緒に踊ったりと、会場の空気をひとつにまとめあげた。さらに「ナニやってんだろうな」では、バンドメンバーも決めポーズに参加。
終始笑いの絶えないライブの最後のMCでは、「10年やってきて、皆さんの前でこうして肌で感じるとひしひしと感謝の気持ちが沸き上がってきます。自分が思い描いてきた初期衝動ってなんだろうということにもう1回立ち返って作った曲です」と、最新曲「夢のような」を紹介し、ライブの終わりを飾った。
名残惜しい空気の中響くアンコールの声を止ませたのは、スクリーンに映る1人の男性の姿だ。「アンコールありがとうございました」と語るのは、佐伯の父。佐伯が普段、楽曲制作作業に使っている機材に囲まれライブグッズを身にまとい、その良さを説明する映像が唐突に途切れると、佐伯が再登場し、アンコールが始まった。吉野裕行に提供した「さよなら」を、吉野裕行のアコースティックギター演奏に合わせて披露。しんみりとしたすると、「絶対に盛り上がる曲があるんですけど、聞いてください。だんご三兄弟」と、ここにきて最大にボケた。『弱虫ペダル GLORY LINE』第2クールオープニングテーマであり、スポーツの垣根を超えて人気の楽曲、「ダンシング」、そして「もう終わり」でスタッフ、関係者、観客に感謝を伝えて、2時間強に及んだライブをしめくくった。
作曲家としてデビューし、シンガーソングライターとしても活動する佐伯ユウスケの10年分の魅力が詰まった、とても楽しい時間であった。
撮影：マツモトタカユキ
ライター：誉田優(@yu__honda)
