Halo at 四畳半

抑えることのできない心の奥底の深い闇に私は「ナラク」と名前を付けた。

 4人組バンド“Halo at 四畳半”が、2019年10月10日に新曲「ナラク」を、10月27日に新曲「花飾りのうた」を配信リリースしました。尚、「ナラク」は、テレビアニメ『ラディアン』第2シリーズのオープニングテーマ、「花飾りのうた」はテレ東の真夜中ドラマ『江戸前の旬season2』エンディングテーマとして起用されております。
 
 さて、今日のうたコラムでは、Halo at 四畳半のボーカルであり、全曲の作詞作曲を手掛けている“渡井翔汰”による歌詞エッセイを2週に渡りお届けいたします!自身のTwitterで『「ナラク」と「花飾りのうた」はどちらも根っこを辿ると“心”をテーマにした曲になっています。“奈落”と“花”はほど遠い存在のようで、実は凄く似たもの同士。その違いも含めて楽しんでみてください』と綴っていた彼。前編ではその“奈落”サイドである「ナラク」について執筆していただきました。じっくりとご堪能ください…!

~「ナラク」歌詞エッセイ~

 心の奥底に自分も知らないような、もしくは知らない振りをしていた自分を見つけて慌てて目を逸らす。そいつは他人に見られたい自分とはかけ離れた存在で、その実、押し潰すこともできない。

 「ナラク」という曲は、あるひとつのキッカケが起こらなければ、かくことは、この世に生まれることは無かった。Halo at 四畳半にとって、とてもストレートな表現で真っ向から挑むこの曲は、キッカケがなければ完成に至らなかったとすら思う。

 そのキッカケというのがNHK Eテレ『ラディアン』第2シリーズのOP主題歌書き下ろしの依頼だった。これまでも感銘を受けた既存作品(映画、漫画等)に勝手に主題歌を付けるつもりで曲をかくことは幾度かあった。しかしながら依頼を受けて書き下ろしをするというのはこの時が初めてのことで、とても高揚したことを憶えている。

 失礼は承知の上で、私はこの依頼がくるまで『ラディアン』という作品を見たことがなかった。第1シリーズのときに今を時めくバンドがOP/EDに起用されていて、名前を見かけたことがある程度だった。

 それでも依頼を受けた以上は、作品に、それにまつわる人達に失礼の無いよう、作品をインプットする作業から「ナラク」の制作ははじまった。原作本を最新刊までいただき、読み込み、スタッフチームと打ち合わせをして曲の方向性を定めていく。

 『ラディアン』は不思議な作品だった。さっと読んだ印象は王道冒険ファンタジー。それなのに読み終えたあと、心に小さなトゲが幾つか刺さっていることに気付く。それはファンタジックな物語の根幹に敷き詰められた人の心の暗がりや、社会問題を彷彿とさせる舞台設定によって差し込まれた“現実”だった。

 ここでひとつの大きなシンパシーを感じた。我々が掲げる「Halo at 四畳半」という奇妙なバンド名には「空想と現実の共存」の意味が込められている。それはまさに『ラディアン』が表現している「ファンタジックな物語の中に潜む現実」とよく似ていた。

 それに気が付いたところで「ナラク」の制作にあたって身に纏おうとしていた鎧をすべて取り外すことを決めた。この作品には真っ向から我々を体現する曲が相応しいはずだと、そう思ったのだ。

 真っ直ぐなリズムに、爽快でいて仄暗さを感じるコード進行。我々が活動初期から好んでいる構成だ。それに乗せる言葉を、あの頃の感覚に近い、頭の中で絵を描くようにして書き連ねていった。

 主人公・セトが抱える、抑えることのできない心の奥底の深い闇に私は「ナラク」と名前を付けた。しかしながら「ナラク」は何もセトの中だけに棲まうものではないと思っている。誰もが心の中に「ナラク」を飼っていて、生きている間にそいつに抗わねばならない瞬間に直面する。

“この身体を巡る運命の行方を決めるのは”

 という一節からはじまるこの曲は、最後までその先を言い切らない。それでもこの曲を聴いたあと、言葉におこさなかった続きの一節が浮かんで見えるような、そんな曲に仕上がったと思う。あなたは何を思い浮かべるだろうか。

<Halo at 四畳半・渡井翔汰>

【後編へ続く!】

◆紹介曲「ナラク
作詞:渡井翔汰
作曲:渡井翔汰
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