アーティストが歌詞に好きでよく使うワードは…?【後編】をお届け!

 以前、うたコラムで『歌詞で、あえて使わないように意識しているワードはありますか?』という質問に対する、10組のアーティストの回答をご紹介いたしました(記事はコチラ!)。たとえば、ポルノグラフィティの新藤晴一さんは「風」や「空」といった使いやすい言葉。大塚愛さんは“綺麗な言葉”など。ビッケブランカさんは“形容詞”です。
 
 そこで今日のうたコラムでは、反対に『歌詞に好きでよく使うワードはありますか?』』という質問に対する回答を過去インタビューをもとに【前編】と【後編】に分けてお届け!今回はその【後編】です。答える前に「今まで意識したことがなかったけれど、よく考えてみると、多く使っているかも!」とおっしゃっていた方も多々。是非、様々な『好きな理由』にもご注目ください。
 
 
<NakamuraEmi>
よく使うのは<花>です。自然界のモノが発する力って、目には見えない凄さがあるし、とても儚いものだからこその強さや美しさがあるから、そこに憧れているんです。なので<花>に関するワードはよく使います。


<ちゃんみな>
<呪い>…ですね(笑)。なんか好きなんですよね。<呪い>という表現をすればなんでもうまく収まる気がするし。それこそ今作だと「Can U Love Me」の<この国にはそんな子は モテない呪いがあるんだ>とか。あと「Doctor」の<この時代は情報が溢れる 呪いにかかってます>もそうですね。<呪い>って風習とかそういうのをひっくるめた言葉じゃないですか。日本語にしかないような、不思議な表現だと思います。


<スカート・澤部渡>
<窓>とか好きなんですよね。想像がしやすいから。向こう側とこちら側というか。あと【ここにいない・いる】というニュアンスの言葉も多いなと気づきました。とくに今回のアルバムの最後は「トワイライト」の<君とここにいないだなんて!>と「四月のばらの歌のこと」の<ここにいるのに>と続きましたし、「花束にかえて」でも<それでも青い鳥は そこにはいない>って書きましたしね。意識して不在を歌ったアルバムにしたつもりはなかったんですけど、意外とそうだったのかもしれないと後から歌詞を読み返して思いましたね。あー、今の自分のモードはこれだったんだぁ!ってハッとしました(笑)。


<大原櫻子>
なんか…温度感。冷たい何か、とか、誰かのぬくもり、とか、そういう温度感が伝わる言葉は好きですね。あと<瞳>かも。「」という曲もあるんですけど、この歌は高校サッカーのテーマソングになるということで、実際に大会を観に行きまして。そのとき、私には応援している人たちの目がとても印象的だったんです。生活のなかでも人の目って、すごくよく見ているから、歌詞にも表れていると思います。


<奥華子>
“否定形”の言葉。あと<優しさ>というワードがかなり多いかもしれません。デビュー曲も「やさしい花」というタイトルですし、私自身<優しさ>についてよく考えるんですね。本当の優しさって何だろうなって。たとえば、何かをしてあげることじゃなくて、何かを“しないこと”も優しさだと思うんです。連絡しないとか。あえて言わないとか。だけど、その“しない”優しさって相手に伝わりにくいじゃないですか。だからそういうところこそ、歌で表現できたらいいなって。


<足立佳奈>
ラブソングなら<今すぐ想いを伝えるよ>とか<あなたに歌うよ>というようなフレーズをすぐに書いてしまいます(笑)。私自身が想いを伝えちゃいたいタイプなので。だけど、伝えられない子にとっては共感できない歌詞になってしまうかもしれないので、そのバランスを考えるのは毎回ちょっと大変ですねぇ。自分の恋愛観が出すぎてしまわないように気をつけます(笑)。


<BIGMAMA・金井政人>
<運命>とか<神様>とか。自分の傾向です。その言葉を音楽として最も体現できたのが「神様も言う通りに」という曲で。僕はお参りをしていて、ふと神様の気持ちを想像したことがあるんですね。「これだけたくさんひとがいて、大変だろうな」って。それで一度、お願いをするんじゃなくて「今年も一年頑張るので、見守っていてください」くらいで帰ったことがあるんですよ。そうしたら、のちに「それが正しいんだよ。お参りっていうのは、自分の名前を伝えて、報告をしに行く場所なんだよ」ということを話してくれたひとがいて。

その真偽作法はいろいろあるとは思うんですけど、僕としてはあのときに自分が思い直したことって正しかったんだなって感じました。仮に、神様が願いを叶える順番をつけるとしても、本当に頑張っているひとから優先させていくんじゃないかなって。すると、また助詞の話に戻りますけど“神様の言う通りに”ではなくて「神様も言う通りに」がいいと思ったんですよね。自分の意志で実現させていくんだという気持ちを<も>という助詞に込めて。だから「抗え」というか「偶然を必然に変えろ」と表現したくて<運命>や<神様>というワードを使っていることが多い気がします。


<阿部真央>
う~ん、初期は<Baby>かな。なんか誰かがね、Twitterで「阿部真央の曲は<Baby>出がち」みたいなことを書いていて、たしかにウルフルズさん並みに出ていますね(笑)。というか、ウルフルズさんの影響で<Baby>が好きになって、やたらと使っていました。


<コレサワ>
<ちょっと>とか<ギュって>とか、ちっちゃい<っ>が入る言葉ですね!<きっと>とか<やっと>とか<なっちゃう>とか。あと【ちゃちゅちょ】とか【きゃきゅきょ】とかも入れたい(笑)。そういう言葉が可愛くて好きなんです。だって「こぼれちゃった」とか日常会話で言うとブリッ子じゃないですか。でも歌の中だったら「~だもん!」とかも許されるから、いつも自分が使いたくて使えない言葉を使っています。


 それぞれのアーティストが大切にしているもの、好きなもの、よく見ているものが自然と歌詞にも表れていることがわかりますね。今回、ご紹介したアーティスト以外にも、あなたが好きなアーティストの楽曲にはどんなワードが登場することが多いか、注目しながら歌詞を読んでみるとまた面白いと思います!いろんな形で歌詞を楽しんでみてください…!


【前編】はコチラ!