涙腺

あなたの背中に羽を見る
槍の先に宿るものとは
悲しいほど無縁のものでしょう
あなたの役目は他にあったはず

穏やかな川面を眺めて
わずかばかりに白波が立つ
もはや祈ることしか許されない
いっそ此処で朽ち果てて欲しい

ゆらゆらゆ~ら揺り籠揺らすように
強く静かにこの手が止まることはない
ただ待ち続ける

朝靄に消えてく勇者に
慰めひとつも言えなくて
花びらひとつ 手のひらに乗せる
どれもなんて頼りないんだろう

ゆらゆらゆ~らこの空が深紅の布を拡げても
桜の木立にもたれても涙は見せません

節くれだった厚い手をとって
握り締めたその力で
こんな時代じゃなかったら
根を張った菩提樹の前で
誰にもこの肌を触れさせない
柔らかな土の匂いがした
あの笑い声で涙腺がにじむ

ゆらゆらゆ~ら古い墓石の前に咲いた蒲公英
息をついたらまっすぐにここへ帰ってきて
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