夢情の宿

好きで添えないこの世の恋の
運命の辛さに貴方を責める
嘘で書いた宿帳の
妻と言う字のその上に
落ちる涙が 止まらない
ふたりぼっちの夢情の宿よ

ゆかたを羽織る貴方の背中
切ない思いのやり場のなさに
少しやつれて目に映る
思い過ごしか気のせいか
足手まといになるのなら
これが最後の夢情の宿よ

季節はずれの吹雪の音が
すすり泣くよに心にからむ
お酒の力で切り出した
別れ話を聞き流し
何も言うなと抱き寄せる
恋の止まり木夢情の宿よ
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