加恵 ~華岡青洲の妻~

紀ノ川の 紀ノ川の
名もない医者の 嫁に来た
白く咲くのは まんだらげ
赤く咲くのは 愛の花…
息を殺して 人目を避けて
加恵は女に なりました

美しいお義母(かあ)はんに憧れて、
何にも知らんで嫁いで来ましたがやのし…

やさしさの やさしさの
一枚下は 泥の沼
義母(はは)は息子の ためと言い
加恵は夫の ためと言い…
男一人に 命をかけて
女二人が 身を砕(くだ)く

痛み止めの眠り薬が出来上がって、
治らん病気も治るようになりました。
あなたの名をとどろかす礎(いしずえ)となったお義母(かあ)はんも、
草葉の陰でどないにお喜びですやろのし…

諦めず 諦めず
あなたは夢を かなえたわ
光失くした この目にも
晴れの姿が 映ります…
幸も不幸も 見透かすように
今日も咲いてる まんだらげ
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