海の女房

時化(しけ)た海には 鳥さえ飛ばぬ
あんたの船も 帰らない
私(うち)は… あんた…
待っちょるたい… 待っちょるたい…
暴風雨(あらし)に頬を 叩かれながら
波止場に立って 沖をみる

親の許しも 祝いの宴(えん)も
挙げずに所帯 もった夜
私(うち)は… あんた…
惚れとるたい… 惚れとるたい…
こころの祈り 聞こえたならば
泣かすな海の 恋女房

三日三晩も 眠らぬままに
龍神さまに 手を合わす
私(うち)は… あんた…
信じるたい… 信じるたい…
塩辛声の あの髭面(ひげづら)が
笑顔で浜に 戻る日を
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