北国夜曲

赤い角巻(かくまき) ふたりでかぶり
呑(の)んであるいた 吹雪(ふぶき)の酒場
おぼえていますか 流氷酒(こおりざけ)
北のおんなは つよいのと
はしゃぎ笑って みせながら
みれんに転(ころ)んで あぁ泣いた夜

枕(まくら)ひとつの つららの宿へ
逢いにくるのは 面影(おもかげ)ばかり
ゆめでは背中が さむすぎる
灯(あか)りひきよせ 便箋(びんせん)に
紅(べに)の唇(くちびる) おしあてて
送った手紙が あぁ片(かた)だより

あなた解(と)かせた ユーカラ帯(おび)を
しめりゃせつない 情(なさ)けがほしい
焦(こが)れて死にます このままじゃ
あれは上(のぼ)りの 汽車の笛(ふえ)
恋にすがって 冬を越す
北国おんなを あぁ捨てないで
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