浮世舟

二人のさだめを 乗せたこの川は
どこへ流れて 行(ゆ)くのでしょうか
夢の終りが 来る前に
あなたしっかり 抱きしめて…
桜(はな)の散り際 水面を染める
恋はひと幕 浮世舟

女の短い 季節(とき)を惜しむよに
啼いているのか 水鳥一羽
岸も見えない 霧の中
あなたしっかり 抱きしめて…
誰もうらやむ 幸せなんて
しょせん叶わぬ 浮世舟

噂に追われて 世間逃れても
櫂(かい)にからんだ 昨日が重い
おぼろ月夜の 迷い川
あなたしっかり 抱きしめて…
いつか帰って ゆく人ならば
せめて今宵の 浮世舟
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