残波岬

おんなの涙を 散らすよに
岸壁駆ける 白い波
生きるか死ぬかの 恋をして
あなた ああ…
漁師でなければ この春に
添えたはず
なんで奪った あのひとを
叫ぶうらみも 岬の風が消す
残波の風が消す

南の空には ちぎれ雲
鴎は赤く 日も暮れて
袂におさめた 想い出を
染めて ああ…
せつなく眠れば みなと宿
朝を待つ
綴る手紙の みだれ文字
命どうする 岬の風が訊く
残波の風が訊く

この世を飛び立つ 海鳥(とり)になり
逢いにゆく
待っているよと 空耳か
泣いて残波の 岬に立ち尽くす
さだめの灯台か
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