夕陽を追いかけて

しばらくぶりの ふるさとは
大きな街に 姿をかえていた
体をゆすって 走ってた
路面電車は 今はもういない

悲しみこらえ たたずんで
好きだった人 永く見送った
後姿に 似合ってた
あの海辺の道 今は車の道

でも海は まだ生きていた
いつも勇気を くれた海だった
空の星は 昔のまま
指先にふれるほど近くに

いつからだろう 父は小言の
たったひとつもやめてしまっていた
いつからだろう 母が唇に
さす紅を やめてしまったのは

長生きしてねの ひと言さえも
照れくさく言えず 明日は出てゆく日
戻っちゃだめと 自分に言った
切り捨てたはずの ふるさとだから

都会に海が 見えないから
ひとは僕を 笑いものにする
都会の星は とても遠いから
ひとは僕を 夢見る馬鹿と言う

いつだって 真剣に
僕は生きて きたはずだけど
でもいつも そこには
孤独だけが 残されていた

沈む夕陽は 止められないけど
それでも僕は 追いかけてゆく
沈む夕陽を 追いかけて
死ぬまで 僕は追いかけてゆく

追いかけて 追いかけて
死ぬまで僕は 追いかけてゆく
追いかけて 追いかけて
死ぬまで 僕は追いかけてゆく
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