鞠と殿さま

てんてん手鞠(てんまり) てん手鞠(てまり)
てんてん手鞠(てまり)の 手がそれて
どこからどこまで 飛んでった
垣根をこえて 屋根こえて
おもての通りへ 飛んでった 飛んでった

おもての行列 なんじゃいな
紀州(きしゅう)の殿さま お国入り
金紋先箱(きんもんさきばこ) 供(とも)ぞろい
お駕籠(かご)のそばには ひげやっこ
毛槍(けやり)をふりふり ヤッコラサーの ヤッコラサ

てんてん手鞠(てまり)は てんころり
はずんでお駕籠(かご)の 屋根の上
もしもし紀州の お殿さま
あなたのお国の みかん山
わたしに見させて 下さいな 下さいな

お駕籠(かご)はゆきます 東海道
東海道は 松並木(まつなみき)
とまりとまりで 日がくれて
一年たっても 戻りゃせぬ
三年たっても 戻りゃせぬ 戻りゃせぬ

てんてん手鞠(てまり)は 殿さまに
抱かれはるばる 旅をして
紀州はよい国 日の光
山のみかんに なったげな
赤いみかんに なったげな なったげな
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