花街三味線

芸は売り者 からだは自前
なんで捨てらりよ むざむざと
色と欲とがからまる裾を
粋にさばいて 生きていく
わたし花街 女郎花[おみなえし]
胸に一途な 恋をだく
きみを誰にもやりたくないと
泣いて私を 抱いたひと
こころゆさぶる そのひとことの
殺し文句に つまずいて
横に倒したスタンドの
灯りまぶしい 片夜妻[かたよづま]
わざと離れて 噂をよけりゃ
男ぎらいと ひとは言う
どうせ私は 三味線草の
花のさだめとあきらめて
あなた坐った 座布団の
温み両手で抱きしめる
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