ラストシーン

交わるはずのない道を
孤独に過ごした日々も
今 愛しい

土曜の午後の通り雨
駆け込んだあの場所で そう 二人は出会った

あの日 何回も 何十回も
確かに重ねた その思い
くしゃみや癖まで良く似た二人なのに

もしもこれがよくできた映画のラストシーンなら
あの角曲がったら 君に会えるのに
いつもと変わらない日々が
虚しく過ぎるだけで
遠ざかる面影(カゲ)を ぎゅっと抱きしめた

知らず知らずのうちに 季節は移ろいゆく
ああ 切ない

あの日の通り雨の様な 突然のさよならさえ
今 時が癒してゆく

あの日 何回も 何十回も
飽きる程聞いた君の声も
合わせた歩幅も 徐々に薄れてゆく

もしもこれがよくできた映画のラストシーンなら
愛しい記憶もセピア色の夢
深い眠りから目覚めるはじまりの朝にも
まぶたに映す面影(カゲ) 背中を押す

もしもこれがよくできた映画のラストシーンなら
忘れかけた頃 きっと会えるけど
静かに小さく震えた ラストシーンだから
もう二度と会えない 知っているのに
遠ざかる面影(カゲ)を ぎゅっと抱きしめる
×